大河ドラマ
第三十話「平家納経」
なんだか悲しい話ばかりでした。


1.弟に見放された兄

讃岐に流された崇徳上皇は、地元の民の温かさと、讃岐の温かさに触れ、この地にきて良かったといいま
す。

そしてあのおろかな戦を悔いて、亡くなったものたちへの弔いの意味も込めて写経し、京都へ届けます。

しかし弟の後白河上皇は裏があるのではと受け入れませんでした。

それどころか送り返してしまったのです。

これに崇徳上皇も大きなショックを受けます。

かつては共に暮らした兄弟でした。

周りの操り人形となって思うように政治も出来なかった兄と、

周りから決して特別扱いされることのなかった弟。

しかしいまや立場は逆転してしまったのです。

置いていかれてしまった、自分には結局何もない、

崇徳上皇の表情が本当になんともいえませんでした。

そしてここまで積もり積もった亡き者の恨みなどもあいなって、

崇徳上皇はとうとう怨霊と化してしまったのです。


2.愛息の死

基盛が宇治川をわたっていたところ溺死します。

武芸に秀でていた基盛がなぜ。

誰もがそう思いました。

そして清盛は棟梁として泣くわけには行きませんでした。

それは誰もがわかっていることでした。

しかし池禅尼に諭され、ようやく泣くことができたのです。

その少し前のこと、解官された基盛に、清盛は自分によく似ているといいました。

清盛にも出来のいい兄弟に挟まれて自分の身をどうすればいいのかわからなかった時期があったのです。

このときの基盛の嬉しそうな笑顔を誰が忘れられたでしょうか。

後に流れた西行の読経に、かつて明子がなくなったときのことを思い出しました。

あのとき、結局読経など意味はないと、清盛は暴れました。

愛するものを失う悲しみと言うのはそれほどまでに人の心を揺れ動かすものなのです。


3.崇徳上皇逝く

この人ほど波乱万丈な人生を送った上皇もいなかったかもしれませんね。

父に裏切られ、愛を知らず、それでも懸命に生きたのです。

あのときの嵐は、平家納経によって、よやっと治まったのでしょう。

とても静かな、そして寂かな光の中で、眠るようになくなりました。


今回は本当に静と動がはっきりと分かれていましたね。

経典を海に捨てるよう言われても、これは全ての人の思いだとして清盛は手放しませんでした。

まさか大河ドラマで怨霊をやると思わなかったのですが、十分見ごたえのある回だったのではないでしょう
か。


さて次回から新章突入ですね。

人々がどのように変化し、かかわっていくのかが楽しみです。





トップへ
戻る
前へ
次へ




inserted by FC2 system